6月の安全運転管理 (2013年)

■雨天時の安全運転を指導しよう

 6月は梅雨入りの季節。雨天走行の注意点を指導しておきましょう。
 最近、集中豪雨による道路冠水被害なども多発しています。気象条件によっては運行計画の見直しをする必要があります。
 また、7月1日から始まる全国安全週間の準備期間となっています。職場の安全点検を実施するとともに、運転業務におけるリスクアセスメントも行いましょう。

 ■スリップによる路外逸脱などに注意 

 交通事故総合分析センターの調査によると、雨天時(降水時)に死亡事故がもっとも増加するのは、車両単独で工作物へ衝突する事故(非降水時の1.88倍)であり、次に多いのは車両相互の正面衝突事故です(同1.53倍)。

   これは、雨によるスリップが関係していると考えられます。車輪がスリップして路外に逸脱したり対向車線にはみ出すことで事故が多発しているのです。 

 スリップ事故を起こさないためには、まず路面の状態に見合ったスピードに減速することが重要です。スピードを落とせば、カーブを曲がりきれなかったり、あわてて急ブレーキを踏む恐れが少なくなるからです(イタルダ・インフォメーション№34より)。

■雨天時は横断歩道での歩行者事故に注意

 雨天時に死亡事故が増加する3番目のパターンは、横断歩道を横断中の歩行者事故です(非降水時の1.31倍)。雨天時は横断歩道が雨で見えにくくなることと関係しているようです。

 とくに雨の夜間は視界が悪化して歩行者の姿が発見しにくくなり、横断歩道の標示も路面の水分がライトを反射して認識できなくなることがあります。

 

 路面標示が雨で見えない場所でも、横断歩道付近に右のような標識が設置されていることはありますので、雨の夜はとくにスピードを落として、標識・標示に注意しながら走行しましょう。

■集中豪雨などによる道路冠水を警戒

 昨年も6月には各地で豪雨災害が相次ぎました。梅雨前線の影響で局地的に大雨が降ると、道路の冠水や土砂崩れによる通行止めなどが発生するので注意が必要です。今後は7月初旬まで集中豪雨に気をつけましょう


 なお、冠水時にもっとも危険な場所は、高架やガードの下を通り路面が低くなっているアンダーパスです。安易にアンダーパスに入って身動きがとれなくなることもありますので、豪雨時は通行しないように指導しましょう。

 アンダーパス走行を避けるために、雨天時の迂回路を決めておくことも重要です。

【※2012年6月の大雨災害】
●梅雨前線や低気圧の影響で、日本列島は6月21日から22日午前にかけ、九州から関東の広い範囲で激しい雨に見舞われました。
●和歌山市南部では住宅への浸水や道路の冠水のほか、交通に乱れが出るなどの被害が相次ぎました。
●高知県土佐清水市では、21日午後7時までの24時間降雨量が6月で過去最多となる221ミリを記録。1人が死亡しました。
●奈良県内では東吉野村等で国道沿いに土砂崩れが発生し通行止めになりました。
●大阪府では堺市など5市で床上・床下浸水がありました。
●東海や関東でも22日朝、局地的に激しい雨が降り、1時間の降水量は東京・羽田で47ミリ、千葉県船橋市で39ミリ、東京都江戸川区で38ミリを観測しました。

■全国安全週間準備期間の活動を

  全国安全週間は7月1日から7日までの1週間ですが、実質的な安全活動は、6月の安全週間準備期間(6月1日~30日)中から実施する必要があるでしょう。 
 平成22年から3年連続増加して労働災害が増加し、安全対策が問題となっていますので、この機会に職場の安全チェックをもう一度徹底しておきましょう。

 平成24年の労働災害による死傷者数は前年比2%の増加、死者数は前年比6.7%の増加となっています。

 また、最近の傾向としては産業構造の変化等により製造業、建設業等における労働災害の占める割合が減少し、小売業、社会福祉施設等の労働災害の占める割合が増加しています。

 

■平成25年度 全国安全週間スローガン

 「高めよう 一人ひとりの安全意識 みんなの力でゼロ災害

詳しくは、厚生労働省または中央労働災害防止協会のWEBサイトを参照してください。

 

 なお、全国安全週間のオリジナルポスター(フォークリフト・ドライバー向け)を作成しましたので、ご希望の方はダウンロードしてご活用ください。 

 ダウンロードは → こちら

■熱中症の発生を警戒しましょう

  6月は急激に気温が上がり湿度も高いことから熱中症の危険が増し、6月中旬から熱中症による死亡災害が発生します。日中の休憩時間を確保し、長時間の作業を避けるようにしましょう。

 また、自覚症状の有無にかかわらず水分・塩分の定期的な摂取が必要であることを指導しておきましょう。 

 熱中症の警戒指標として環境省から暑さ指数(WBGT)予報が公表されていますので参考にしてください。 

 以下はWBGTをもとにした熱中症予防の生活指針(日本生気象学会)です。 

 

●25度未満/注意 激しい運動や重労働時には発生する危険性あり。

●25~28度/警戒 運動や激しい作業をする際は定期的に十分休息する。   

●28~31度/厳重警戒 外出時は炎天下を避け、室内では室温の上昇に注意する。

●31度以上/危険 高齢者においては安静状態でも熱中症が発生する危険性が大きい。外出はなるべく避け、涼しい室内に移動する。

6月の安全運転管理ごよみ ──2013年──

日付 行事・イベントなど

1日(土)~

30日(日)

・全国安全週間準備期間

──7月1日から1週間実施される安全週間の実効を上げるため、6月は安全活動の総点検を実施します。詳しくは、厚生労働省または中央労働災害防止協会のWEBサイトを参照。

1日(土)~

30日(日)

 

不正改造車を排除する運動強化月間

──毎年6月は、危険、迷惑な車の不正改造の取締りを特に厳しくする強化月間。街頭検査などが実施されます。

 

1日(土)~

30日(日)

環境月間──6月5日は環境の日(世界環境デー)、この日を含む1か月間を「環境月間」として、エコライフ・フェア2013(6月1日(土)・2日(日))が渋谷区代々木公園で実施されるなど各地で環境イベントが実施されます。

1日(土)~

30日(日)

暴走族取締強化期間──例年、夏期になると暴走族のい集、暴走行為が活発化しまので、夏期前の時期に、暴走族を許さない環境を作るために取締りを強化します。

1日(土)

 ・気象記念日──1875年(明治8年)のこの日、 現在の気象庁に当たる東京気象台が創設されました。

2日(日)

8日(土)

・危険物安全週間

 ──消防庁が制定。毎年6月の第2週(日曜日から土曜日までの1週間)、ガソリン等の危険物の自主保安体制の確立を呼びかけている。

 平成25年度推進標語

「あなたこそ 無事故を担う 司令塔」

 詳しくは(財)全国危険物安全協会のWEBサイトを参。

11日(火) ・6月の製品安全点検日──経済産業省は、毎月第二火曜日を「製品安全点検日」として、製品の安全な使用法やリコール製品等について情報提供・注意喚起を行っています。
11日(火) ・入梅
16日(日) ・父の日(6月第3日曜日)
21日(金) ・夏至

21日(金)~

23日(日)

・第49回 日本交通科学学会総会・学術講演会
 場所:帝京大学板橋キャンパス(東京都板橋区加2-11-1)
 メインテーマ: 交通事故の被害軽減に向けて

──医工学連携による予防、治療、回復
6月中旬

平成25年5月末における交通事故発生状況公表(警察庁)

・交通統計(平成24年版)発売/交通事故総合分析センター

・交通安全ファミリー作文コンクールの実施要項の公表

 (募集は平成25年7月1日から)